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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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 日本一長い時代小説を目指して
ちなみに日ほ本一長い歴史小説と言われているのは、山岡荘八先生の「徳川家康」で、四百字の原稿用紙で17、482枚。
文字数は単純計算すると6、992、800字です。
鐘巻兵庫93話終了時点で約245万文字ですから、今後年55万文字のペースで書くと、目標達成は8年5か月、私が82歳を迎えた頃でしょうか。
そこまで長生きできれば良いのですが。

鐘巻兵庫無頼控え ←連載中
 
湯上り侍無頼控え ←連載終了

駄文創作の徒然 ←たま~に
小説を書くことで体験する事柄を綴ります。 

馬鹿な話 ←たま~に
日々思いついた身近な題材を選び、少の偏見を込め綴ります。

鼻歌 100曲作りました。興味無くても聞いてください。
      珠玉の鼻歌100曲のメドレー

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Posted on 2031/04/30 Wed. 09:34 [edit]

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【鐘巻兵庫 第94話 斬られ彦四郎(その21)】 

 兵庫は浮世絵を一枚雅代に渡し、空になった背負子を担ぎ屋敷を出た。
十軒店まで戻って来て、茶店に寄り集まって居た保安方の三人に
「申し訳ありませんが、何方か辰五郎さんの所に行き、地蔵らしき物が出来ていたら、中途でも構いませんので彦四郎さんの屋敷に運んでおいて下さい。ただし地蔵が運び込まれたことを知られぬように。庭から“延命・子育て”の札と共に掘り出されたことにしますので」
「と云うことは、地蔵も汚れていなといけませんね」と鬼吉がおどけると
「それより辰五郎さんが手に入れる石には、既に文字が刻まれているからそれだけは削ってもらわねーと」と乙次郎が、暗に墓石を使って居るかのように言った。
「地蔵の目方が分からねぇ。乙に鬼吉、大八を牽き行ってこい」
「任せてくれ」二人は茶店を出ていった。
「常吉さん、浮世絵を二枚渡しますので、男の客の多い飯屋と茶店に貼りだしてください」
「お安い御用ですが、何故、地蔵を彦四郎さんの所へ運ぶんですか。まさか小銭の浄財集めではないでしょうね」
「副作用として浄財集めにはなりますが、狙いは別です。延命や子育てのご利益を頼みにお参りに来られる方も中には居るでしょう。神頼みしかできない方は概ね貧しいのです。もし多少の金や支援で神頼みの代わりに成るのなら助けてやりたいと思ったからです。“斬られ彦四郎”の神通力は長くは続きませんが、その神通力を地蔵に移せれば衰えることなく長く続くでしょう」
「良い話ですね。先の話は兎も角、今日の午後は“斬られ彦四郎”の神通力に期待しましょう」

 そして午後、京橋銀座の両替商に“斬られ彦四郎”の浮世絵を売りに行く彦四郎を警護する男たちが道場に集まって居た。
「彦四郎殿の警護は本日一日で終わるとは思えません。また彦四郎殿には刺客を誘き寄せるために出来るだけ外に出て頂くことに成ります。皆さんには日々の役割が在りますので互いに都合をつけて下さい。と云うことでここに集まられた方々が毎日出かける訳にはいきません。勿論今日もです。剣術方は坂崎さんと根津さんの交代とし今日は坂崎さん。保安方は一人にします」
と云うことで、押上からは兵庫と常吉が護衛として出ていった。
彦四郎屋敷からは彦四郎本人と父も矢五郎、護衛として坂崎新之丞、浮世絵運びとして心太が、他に兵庫のやり方に興味を持った萬屋の弥一が加わった。
駒形に寄り、桐箱に納められた浮世絵九百枚と、出来上がったばかりの太白が描いた“斬られ彦四郎”の肉筆画の掛け軸が桐箱に納められ、さらに挟み箱に入れられ、これを心太が担いだ。
浮橋で山中碁四郎が加わり総勢八人となった。
 そこで改めて刺客・五百旗頭(いおきべ)伝十郎の風体が、“体躯大柄で頑強、総髪で髪多し、眉太いが目は細くつり目、下顎張り出しあり”が確かめられた。

 浮橋を出た行列の先頭は碁四郎、三間とやや間を置き兵庫、更に一間置き彦四郎、それより少し下がって弥一が居た。
なんと彦四郎の姿はかつての同心の姿で黒紋付に着流し雪駄履きであり、弥一はお供の岡っ引きを演じていた。
そして後ろの備えは坂崎だった。
その後ろを少し離れ、矢五郎と心太が主従のように歩いて居た。
常吉の姿が見えないが先行し店の中を確かめていたのだ。

 こうして一行は何事もなく京橋を渡った。
事件が起きた宮古屋の建物が見えたが、商いをしている様子はなく、近づくと何かそこだけが雑踏を拒むように戸を閉め切って居た。
 彦四郎は店の前で立ち止まり、店に向かって手を合わせた。そして振り返ると、道を横切り向かい側の両替商菱屋の暖簾を潜った。これに従ったのは矢五郎、兵庫と挟み箱を担いだ心太・・いや心太に代わった弥一だけだった。
 中川親子に番頭が直ぐに気が付いたのは二代にわたりこの辺りを受け持っていた奉行所同心だったからだ。
「中川様、お久しぶりで御座います。今日は?」
「一月ほど前に宮古屋の事件で怪我をした倅の傷がなんとか歩けるまでになった。迷惑を掛けた詫びと、頼みごとが在り参った。主の伊兵衛殿に会いたいのだが取り付いては貰えぬか」
「お一人助かった方がおいでとは伺って居ましたが中川様でしたか。少々お待ちください」
番頭は躊躇うことなく奥へと姿を消した。

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Posted on 2017/02/21 Tue. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第94話 斬られ彦四郎(その20)】 

 朝稽古、朝飯を済ませた兵庫は稽古着に刀を差し、さらに空の背負子を担ぎ、押上の養育所を出た。養育所に雇われることに昨日同意した赤松又四郎を迎えに行くためであった。
途中、勉学と遊びのために駒形から押上に向かう子供たちとすれ違い、そして、子供たちが居なくなった駒形の養育所に入った。
外では聞こえなかった子供の声が聞こえて来た。
「内藤さん、もう子供たちが来ているのですか」
「はい、新しく預かり所で雇ったおたねさんと、おすまさんには預かった子供たちの世話だけではなく、賄いなどもしてもらっているので朝、早くから来てもらっています。忙しい朝が終わったら交代で家に戻ってもらい洗濯などをしてもらっています」
「いいですね。出来るだけ働きやすい仕事場にしてあげて下さい」
「はい、ところで昨日弥一さんが刷り上がった浮世絵千枚を置いていきました。今日午後京橋銀座の両替屋に十枚一部の纏め売りに行くと聞いています」
「はい、売り子は浮世絵に描かれている彦四郎さんにお願いしています。すみませんが、二百枚を駒形に残して置いて下さい。薬屋の傷薬の効能書きに“斬られ彦四郎様御用”などの宣伝文句を浮世絵と共に添えたり、他にも使い道を考えましょう」
「分かりました、薬屋の方は手配しておきます。それと早耳の者が浮世絵を買いに来たら如何いたしましょうか」
「その時は、一枚二十五文で売って下さい」
「分かりました」
「それでは、これから又四郎を迎えに行って来ます」と云い、内藤に浮世絵十枚を出してもらった。
 下谷練塀小路の赤松家の屋敷に着くと、主は出仕して不在で妻のこず恵と又四郎が出てきた。玄関わきには持参する荷物が置かれ、又四郎自身は稽古着姿で待って居た。
「又四郎殿が暮らすことに成る屋敷は、駒形と押上の中ほどにある中之郷元町の中川彦四郎殿の屋敷です。中川殿のことはこの浮世絵に描かれています。あの辺りでは有名ですので迷わず行けると思います」と持参した浮世絵を一枚渡した。
浮世絵を見、読んでいたこず恵が、
「旦那様がこれを見たら、今日にでもお屋敷に行かれることでしょう」
「出来れば、押上にも足を延ばして頂ければ幸いです。

 又四郎の絵道具、着替えなどの入った行李、剣術の道具を背負子に括りつけ背負うと兵庫と又四郎は赤松家の屋敷を出た。
途中、駒形に立ち寄り内藤に挨拶をさせた。
隣の薬屋継志堂の暖簾脇には早速“斬られ彦四郎”の浮世絵が貼られ、傷薬の宣伝がされ、それに見入る者がいた。

 吾妻橋を渡った所で、
「左に曲がっても、右に曲がっても行けるが、右の方が分かりやすい」と云い右に曲がった。そして大名下屋敷の切れた所の道を入って行った。
「あそこに侍屋敷の屋根が見えるだろう。そこだ」
 二人が屋敷前まできたが、直ぐに屋敷には入らず前で商いをする履物屋の暖簾をめくり上げた。
「親父殿、話が有る」と中で動いている者に声を掛けた。
「鐘巻様何でございましょうか」
「これを渡すので商売に役立てて下さい」と云い、浮世絵を渡した。
「これは・・“斬られ彦四郎”・・どこで・・版元が分かりませんが」
「版元が分からないので欲しくても買えないですね。私は駒形の経師屋為吉で買いました」
「駒形の経師屋為吉ですね。誰にも教えないで下さいよ」と云い店の中に引っ込んだ。

 又四郎を連れて彦四郎の屋敷に入った兵庫は、玄関に又四郎の荷を下ろし、掛けられている板木を二度打った。
出てきた彦四郎の妻・雅代に
「この子が絵師の卵、赤松又四郎殿です。午前中は養育所の子と同様に勉学や稽古をし、午後は太白先生と絵を描いて貰うことにしています。こちらで世話をお願いします」
「又四郎です。宜しくお願い致します」
「分かりました。お上がりください」
「又四郎上がりなさい。私は用が在り戻らねばなりません。太白先生に言伝をお願いします」
「どのような」
「本日午後、押上で会うことに成って居たのですが、所用が出来出かけねばなりません。又四郎と共に押上に行き私の代わりに妻と会って下さいと伝えて下さい」
「分かりました」

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Posted on 2017/02/20 Mon. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第94話 斬られ彦四郎(その19)】 

 嘉永六年八月二十九日(1853-10-1)は眩い朝日で明けようとしていた。稽古着に着替えた兵庫が、己に割り当てられている家の仕事を済ませると、道場に出ていった。
そこには、何人もの人が動いていた。
昨日寝る前に道場の湿り気を取るために撒いた乾いた砂が、一夜のうちに湿り気を吸い上げている。その砂を取り除き朝稽古をする道場をより良くしているのだ。
 その甲斐あって、二日間雨で休んでいた朝稽古には、待ちかねていた子供たちがやって来た。その子供たちを指導する大人たちとの稽古が一巡したところで、なぜか稽古から大人が抜けた。
道場の脇に集まった大人たちは兵庫を注目していた。その兵庫の脇には稽古に参加しなかった中川彦四郎と父親の矢五郎、他に萬屋の弥一と四人組の一人心太が居た。
「今から、矢五郎殿の話を伺います」
「昨夕、南町奉行所定廻り同心の坂牧殿が参られ、彦四郎に用心するようにと仔細を語り帰られた。その仔細とは、一月前の京橋宮古屋事件では宮古屋の主や浪人らの助っ人が死んだことに成って居たが、実は遺体を検分した宮古屋の下働きの者が夜警番の浪人二人が居ないことを証言していたのだ。下働きの証言で手配書が作られたが、奉行所は表立って動かなかった。事件を終わらせようとする勝手方の力が働いたためと、逃げた浪人二人は姿を潜め捕まらないだろうと思ったからだ」
「ところが、その浪人が現れたということですね」と心太が合いの手を入れた。
「そうだが二人ではなく一人で、先日八丁堀のわしらが住んでいた屋敷を窺っているのを新しい主に見とがめられ逃げた侍が居た。いわくつきの屋敷ゆえ、京橋宮古屋事件の関係者かも知れないと事件調書を調べたら、事件は終わってはおらず手配書が挟まって居た。その手配書から判断すると五百旗頭(いおきべ)伝十郎にほぼ相違ないと云うことだ」
「坂牧殿が彦四郎殿に用心しろと言われたのは尤もな話ですね。ところで奉行所は動くのですか」と兵庫が問うた。
「坂牧の口を借りれば、“探すより、相手に彦四郎さんを探させた方が手間がかからないでしょう”だった。奉行所はやる気がないようだ」
「五百旗頭の狙いが彦四郎さんとして、彦四郎さんどうしますか」
「逃げていては埒(らち)が明かないので、坂牧殿の言われるように相手に私を探させ迎え討ちましょう。ついては、ご助成をお願いしたいのです」
「その話に乗りましょう。ただし、相手を極力生きて捕らえ奉行所に渡し事件を閉めて貰いましょう」
「先生、相手を誘き出す手立てにこれ使えませんかね」と弥一が懐から紙を出し広げた、
それは“斬られ彦四郎”の浮世絵だった。
「それ使いましょう。何枚刷った」
「取り敢えず千枚です」
「一枚幾らだ」
「出来れば二十五文頂けると有難いのですが」
「よし、いい値で養育所で買い上げます。それでいいですね」
「異存は在りませんが、本当にいいんですかい」
「決まりました。浮世絵を駒形の内藤さんに納め、代金を貰って下さい」
「売り切る目処はついているんですかい」
「いや、売り切れるか否かは分かりませんが、損はしないつもりです」
「先生、売り切れなくても損をしないと云うことは、値上げすると云うことに成りますが」
「常吉さん、当たりです。売り先は宮古屋と同じ京橋銀座の両替商にします。売るのは彦四郎さん本人にお願いします。十枚を一分で纏め売りしましょう。護衛は私以下、手の空いて居る者がします」
「先生、護衛は無理でも浮世絵運びは出来ます。お供させてください」と新入りの心太が申し出た。
「先生、私もついて行って構いませんか」と弥一も兵庫のやり方に興味を示した。
「何事も勉強です。午後ここを出て、彦四郎さんの所に寄り、駒形、浮橋経由で京橋に行きます。その何処かで参加して下さい。ところで矢五郎さん五百旗頭の手配書に記された様子を教えてください」
「体躯大柄で頑強、総髪で髪多し、眉太いが目は細くつり目、下顎張り出しあり。こんなところです」
「分かりました。私からは以上です。尚、午前中私は絵師の卵・又四郎を迎えに下谷練塀小路へ行って来ます」

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Posted on 2017/02/19 Sun. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

鐘巻兵庫第94話 中休み 

お題の第94話ですがこれまでに“その18”まで進めてきましたが、あと少しで終わりそうなのです。
ところが、その終わり方が、なんの盛り上がりも落ちも無いのです。
そこで、少しばかりストーリーに花を咲かせるため、構想の練り直しをします。
練り直しが吉と出るか凶と出るか・・・
何はともあれ、良い結末が書けますように祈って下さい。

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Posted on 2017/02/18 Sat. 04:01 [edit]