fc2ブログ

04 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 06

洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

プロフィール

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カレンダー

書斎3 

 日本一長い時代小説を目指して
ちなみに日ほ本一長い歴史小説と言われているのは、山岡荘八先生の「徳川家康」で、四百字の原稿用紙で17、482枚。
文字数は単純計算すると6、992、800字です。
鐘巻兵庫163話終了時点で約500万文字ですから、今のペース年55万文字で書くと、目標達成は2025年8月頃でしょうか。
そこまで長生きできれば良いのですが。

鐘巻兵庫無頼控え ←連載中
 
湯上り侍無頼控え ←連載終了

駄文創作の徒然 ←たま~に
小説を書くことで体験する事柄を綴ります。 

馬鹿な話 ←たま~に
日々思いついた身近な題材を選び、少の偏見を込め綴ります。

鼻歌 100曲作りました。興味無くても聞いてください。
      珠玉の鼻歌100曲のメドレー

 ←のボタンを押して頂けると頑張れます。

Posted on 2031/04/30 Wed. 09:34 [edit]

3LDK  /  TB: 0  /  CM: 31

【鐘巻兵庫 第171話 暖簾分け(その5)】 

 房州屋に岩松が侍と木刀勝負したことは負けたにしても度胸の在る男として仕舞屋の主・島蔵に認められた。
「岩松さん、もう下働きは良い。上でこれまでの武勇伝でも話してくれ」
「先ず、雇ってくれるのでしたらさん付けでは呼ばないで下さい。それと未だなんの仕事もしていねえ。これまで仕事をして来た他の子分衆に申し訳ありません。あの侍が加減してくれたので腕を腫らした程度で済んだ訳で、脳天を割られて居ればただの馬鹿でしたからね」
「確かにそうなるが、この世界では度胸を見せられない者は人の上には座れねえもんだ。だが、岩松さん、いや、岩松の云う事も分かる。遠からず一緒に仕事が出来る日が来る。それまで下働きで我慢していてくれ」
「分かりました。その日が来るのを楽しみにしていやす」
「話は変るが、剣術は何処で」
「我流ですが、剣術道場の武者窓から覗いて真似をしているだけです」
 島蔵と岩松そして子分衆が話して居る所に、房州屋に行った男が戻って来た。
「鬼吉、ご苦労だった。お前の留守中に岩松の武勇伝があり、わしは納得したのだが、どうだった」
「確かに最近、五郎蔵等が追い出されたのは事実でした。鬼の居ぬ間に房州屋に用心棒の話を持ちかけたんですが、番頭の野郎、肝が据わった野郎でした。その訳が解かりました」「何だい。話せ」
「五郎蔵等に代わって用心棒に成ったのは・・鐘巻、あの悪党斬りの鐘巻でした。本人が目の前に現れたので、首が胴から離れねえうちに戻って来ました」
 鬼吉の話が済むと、岩松の武勇伝が島蔵の口から鬼吉に伝えられ、岩松が島蔵一家に加わることが皆に認められたのだ。
「これから表の見張に立ちますが、外から来るお身内が居られるのなら知っておきたいのですが・・・失礼を働かない容易にしたいので・・・」
「やって来るとすれば深川の仁助、勘蔵、庄次
の三人だ。他にも居るが、名前を聞き通してくれて構わない」
「ところで飯は何処で食べるのでしょうか。腹が減って居るので・・・」
「文無しか」
 懐から巾着を取り出した岩松は逆さまにして振って見せ、
「こちらに伺い仕事をさせて欲しいと頼んだ時に申した通りです。下働きで日当の二分は無理でしょうが、少なくとも飯と寝床の用意はお願いしたいのですが」
「わかった。飯は外で食べて貰うことに成って居る。飯の金は日当一朱出すのでそれで賄ってくれ」
といい、懐から財布を出し、
「今月は晦日までに今日を入れて八日在るので八朱だな」
と云い、財布から二分(=八朱)出して岩松に手渡した。
「有り難うございます。飯屋、風呂に行く時は何方に代わりをお願い知ればよいのでしょうか」
「誰に断ることも無い。ここに迷い込む奴はこれまでに無かった。今日はじめて岩松がきたのだ」
「そうでしたか。それでは頃合いを見て飯屋、風呂に行って参ります」
「そうしてくれ」

Posted on 2022/05/21 Sat. 04:00 [edit]

【鐘巻兵庫 第171話 暖簾分け(その4)】 

 兵庫と碁四郎が出て行くと、少し間を置いて裏店に二人残して政吉等も見張りのため出て行った。
 裏店の木戸から外に出た兵庫と碁四郎が仕舞屋辺りを見ると、岩松が相変わらず通りに箒目を入れていたが、兵庫を見ると履くのを止め水桶と柄杓を持った。
「兵さん、何か用が在りそうですよ」
「その様ですね」
兵庫が近づくと、岩松が撒いて居た水が兵庫の足元を濡らした。
「無礼者」と兵庫が叫び岩松に歩み寄った。
「お武家様、申し訳ありません」と頭を下げ、声を落として
「仲間が房州屋へ」と知らせた。
「分かった」と小声で応えた後、
「だが許さん、お主の手には竹刀だこが在る。相手をしてやる。得物を持って来い」
「分かりました。お待ちください」
 仕舞屋に戻った岩松が木刀二振りを持ち出て来た。
その後ろには、あまり近寄りたくない荒くれが二人付いてきていた。
「お侍、竹刀と言った軟弱な物は在りませんでしたので、これで・・」
「木刀か、寸止めを心がけるが当たるかもしれぬが死ぬことは無いだろう。覚悟して掛かってこい」
木刀を受け取った兵庫が云った。
「お侍、これは勝負ですから、恨みっこなしでお願いしますよ」
「承知、碁四郎さん審判を頼みます」
「分かりました」

 侍と町人が木刀持って見合ったため、通行には端によけ、様子を見るために立ち止まった。
「はじめ!」と碁四郎の声が飛んだ。
 睨み合っていた兵庫が間合いを詰めていった。
「どうした、怖気づいたか。下がらず打ち込んで来い」
覚悟を決めたかのように梅松は気合と共に打ち込んでいった。
その木刀を打ち払った兵庫に、再度打ち掛かると梅松の木刀を躱し、空を切らせると兵庫の気合が飛んだ。
「それまで」
碁四郎の声が飛んだ。
兵庫の木刀が梅吉の小手を押さえていた。
打たれた腕をさすりながら、梅吉が
「お侍、手加減して頂き有り難うございました」
「町人にしておくのが勿体ない腕前だ」
兵庫は木刀を返すと、その場を離れ房州屋へと向かった・
その兵庫を追って来た政吉が
「何か分かりましたか」
「仕舞屋の者が梅吉の話を確かめるため日本橋の房州屋へ向かっている」
「分かりました」
「私たちが寄るので皆さんはこちらをに貼って居て下さい」
「有り難うございます」

 その日本橋の房州屋までやって来た兵庫が店内に入ると、番頭の洋介が堅気とは思えない男と向かい合っていた。
「先生、いらっしゃいませ。こちらの方が御用の様です」
「私は鐘巻と申しますが、その風体から察するに、商売仇かな。それとも五郎蔵たちに頼まれて敵討ちですか」
「か・かねまき・・。悪党斬りの・・失礼しました」
と言い残して男は店を出て行った。
部屋暖簾の奥で控えて居た文吉、佐助、在吉の三人が木刀を持って出て来た。
「兄上、山中先生良い所に来てくれました。怪我をさせずに済みました」
「元気そうで何よりです。額賀さんの奥さんとお子の君次郎さんが養育所来たぞ」
「その話、岩松さんがやって来て教えてくれました。まさか岩松さんが養育所で働くと思っても居ませんでした」
「その岩松さんが、悪党の家に住み込むために、自分も悪党であることを証明して貰うために今の男をここに寄越したのです」
 そこに店から出て行った男を追って来たましらの仲間の総三郎が顔を見せ、
「先生、わざわざご苦労様です。仕舞屋から来た男は逃げる様に戻って行きました、私も戻らせてもらいます」
「ご苦労さんでした。岩松さんは間違いなく雇って貰えますよ」
「はい、間違いなく。それでは失礼します」
 暫くして、兵庫と碁四郎も房州屋を出て帰路についた。

Posted on 2022/05/20 Fri. 04:00 [edit]

【鐘巻兵庫 第171話 暖簾分け(その3)】 

 翌二十三日、朝食を済ませ、子供たちと釣りの支度をして居ると、政吉がやって来た。
「いやに早いですね」
「早飯を食べやって来ました」
「あれから何か在りましたか」
「はい、あれから山崎様、岩松さんと神谷町まで行き、仕舞屋が山崎様が申された鵜匠の島蔵の棲み家だった所と確認したうえに、山崎さんは向かいの料理屋・お吉に入り知り合いの下働きのおつるがまだ居たので、“向かいの主はまだ島蔵さんですかと尋ねたら、首を縦に振ったそうです」
「念には念を入れた訳ですか」
「その上で、仕舞屋の近くに在る裏店に行き、私達の寝床を借りてくれました。これからそこに行き仕事を始めます。まめにこちらに来られなくなるので、先生に来ていただこうかとお誘いに来たのですが」
「分かりました。支度してきます」

 押上を出た兵庫は途中、平右衛門町に寄り養育所設立三役の一人山中碁四郎を誘い神谷町までやって来た。
仕舞屋は本通りの枝道に入った所にあった。
そして少し先、その枝道に出入り口を持つ裏店へ兵庫と碁四郎は案内された。
借りた部屋は二間続きの家だが、潜むだけなら十分な広さだった。
事実そこには、兵庫、碁四郎、ましらの仲間七人と梅松の計十人が座しても余る余地が在った。
「深川に詰めているお二人も来られて居ますね」
「限られた人数でやらねばならないことが多いので、こちらの仕事も頼むことにしたのです」
「お話し中申し訳ありませんが、仕舞屋に雇って貰う様に頼んで来ます。皆さんに迷惑を掛けるといけませんので、ここには戻らず、どこかに寝床を探します」
「岩松さん、始め高く売り込みなさい。あなたの腕せ前なら、滅多なことでは負けませんので・・」
「先生のお陰です。飯付き寝床付きで日当二朱ではどうでしょうか」
「そこは落し所です、日当二分から始めて腕前を高く売りなさい」
「分かりました。最後は寝床と飯で手を打ちます」
「いいでしょう。潜り込めれば、大いに助かりますからね」
「もし、今日駄目な場合は何処かに寝床を探します」
「今日の今日は無理かもしれないですね」
「宇吉、総三郎、乱八、岩松さんが雇われるか否かと、駄目な場合寝床がどこになるか確かめてくれ」
「はい」
 岩松が出て行き、それを追う様に宇吉と総三郎そして乱八が出て行った。

 半刻ほど経って宇吉が戻って来た。
「先生方、岩松さんどうやら雇われたようですよ。表の道に箒目を入れ始め、私等に向かって笑い顔を見せました」
「恐らく仮雇でしょう。それでも有難い話です。私と碁四郎さんはこれで戻ります」

Posted on 2022/05/19 Thu. 04:00 [edit]

【鐘巻兵庫 第171話 暖簾分け(その2)】 

 翌二十一日は何事もなく過ぎ去り、二十二日も暮れようとし始めた頃、政吉と岩松が押上にやって来た。
「先生、神谷町の仕舞屋ですが守りが固く、町の者も一言もしゃべりません。調べる方法として今考えて居るのは、先生の伝手を頼り聞き出して貰うか、こちらの岩松さんを雇って貰うかですが・・」
「奉行所は使いたくないな。岩松さん、雇って貰えそうか」
「やって見なければ判りませんが、日本橋で五郎蔵親分の下で働いて居たが強い商売敵が現れ日本橋を追い出されたことを話せば、調べて嘘でないことを知れば、おそらく雇って貰えると思います」
「なるほど、この話、これから山崎さんにも話してから決めることにしましょう」
「山崎様ですか・・・」と岩松が怪訝な顔を見せた。
「岩松さんは知らないかも知れませんが山崎さんは元火盗改めの密偵をしていたのです」
「火盗改めの密偵・・・参ったな‥早く教えて下さいよ」
「過去のことは藩さに用に心がけているのでな」
「養育所には捕まえる方と捕まった者が多いですね・・政吉さんは?」
「捕まった方だ」
「先生、駒形の山崎様の所へ行きましょう」

 駒形に場を変えた兵庫、政吉、岩松の三人は山崎と面していた。
一通り話を聞いた山崎が
「その仕舞屋の向かいに“おきち”と云う料理屋はありませんでしたか」
「在ります。ご存知でしたか」
「そいつは恐らく“鵜匠の島蔵”と呼ばれた男です。見込みのある子分を江戸市中に暖簾分けと称して配置して用心棒家業をやらせ、そこからの上りを吸い上げるので、まるで鵜匠のようだと名付けられたと聞きます。しかし、本業は盗人だと思って何度か見張ったのですが尻尾を掴めませんでした」
「島蔵の本業が盗人だと思う根拠は何ですか」
「島蔵一家が仕舞屋を出た日に、江戸の何処かで多額の金が盗まれた事件が起きているということです。たまたまかも知れませんがね」
「確かに臭いますね。島蔵は火盗改めが目を付けた盗賊では無かったのですか」
「用心棒家業をでもかなり儲けていたので、盗人をする理由がないと火盗改めが出張る対象では無かったのです。私の趣味で見張って居た者の一人だっただけです」
「島蔵が仕舞屋を出た後を付けなかったのですか」
「私は島蔵の見張を向かいの料理屋・おきちの下働きの女に頼んでおいたのです。普段は他を見張る本業が在ったので・・・」
「一人で何役も出来ませんからね。人手をかけないと・・・」
「面白い話をしましょうか」
「ききたいですね」
「鵜の一羽が久須美様の屋敷近くに住んで居ました。火盗改め方を見張って居たのだと思っています」
「今の火盗改めは・・・
「今年の五月に坂井様に代わって居ます」
「と云う事は、坂井様の屋敷が見張れるところに鵜が居れば、盗人稼業をやっていることになりますね」
「そうなりますね」
「何か為になる話を聞いたような気がして来ました」と兵庫が呟いた。
「為になる?ですか」
「政吉さん。鵜匠が操る鵜が何羽居るかを探りましょう」
「それは仕舞屋を出入りする者を見張ればわかるでしょ。他には?」
鵜匠が出張る日に盗人稼業を行うことを信じその日を待ち、盗人を捕らえることにしましょう。この段取りを考えますが、先ずは仕舞屋の見張をして鵜を数え、暖簾分けの所在を確かめましょう」
「分かりました。明日から神谷町に寝床を確保し仕舞屋を見張り、暖簾分けの所在を確かめますので、先生の方は盗人を捕らえる段取りの方をお願いします。ここから神谷町は近く無いので盗人が動く時には事前に神谷町か盗人先に移動して頂かないと間に合わなくなりますので・・・」
「確かに、その時のことも考えておきます」

Posted on 2022/05/18 Wed. 04:00 [edit]