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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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 日本一長い時代小説を目指して
ちなみに日ほ本一長い歴史小説と言われているのは、山岡荘八先生の「徳川家康」で、四百字の原稿用紙で17、482枚。
文字数は単純計算すると6、992、800字です。
鐘巻兵庫190話終了時点で約557万文字ですから、今のペース年50万文字で書くと、目標達成は2026年11月頃でしょうか。
そこまで長生きできれば良いのですが。

鐘巻兵庫無頼控え ←連載中
 
湯上り侍無頼控え ←連載終了

駄文創作の徒然 ←たま~に
小説を書くことで体験する事柄を綴ります。 

馬鹿な話 ←たま~に
日々思いついた身近な題材を選び、少の偏見を込め綴ります。

鼻歌 100曲作りました。興味無くても聞いてください。
      珠玉の鼻歌100曲のメドレー

 ←のボタンを押して頂けると頑張れます。

Posted on 2031/04/30 Wed. 09:34 [edit]

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【鐘巻兵庫 第193話 夏の虫(その15)】 

 四月四日、起床後、私用を済ませた兵庫が庭に出て行くと、待っていたかのように千恵蔵と紋次郎がやって来た。
「先生、昨日、八兵衛さんにお願いし市ヶ谷と四谷の金貸の臭いを嗅ぎに行って貰いました」
「臭いで判るものですか?」
「自分と同じ匂いがすれば悪党だと言って居ました」
「と云うことは、八兵衛さんは悪党と云うことに成りますが」
「そうなりますね。ですから気を付けて下さい」
「分かりました。それで、結果はどうでしたか」
「市ヶ谷の升屋喜平、四谷の外濠屋五平の双方とも今が盛りの悪党だとの御託宣でした」
「八兵衛さんの御託宣でしたら素直に受け入れることにします。ご苦労さんでした。私は食後ここを出て昨日の進展を山崎さん、山中さん、岸田さんに連絡した後、養育所に入りますので、何か生じましたら来て下さい」
「分かりました」 

 こうして朝食後、千恵蔵と紋次郎は見張り場の在る小塚原方面へ、兵庫は昨日の進展を山崎、山中、岸田に伝えるために、その所在を訪ねて回った。
それが終わると兵庫は竜泉寺町の養育所に内藤を訪ねていた。
 そこで書付を見て新規に得た情報は昨日一哲宅を訪問した三人の在所と商いだった。
書付によると一人は神谷町で金貸を営み、残りの二人はそれぞれ芝と品川で軒代を強要する稼業だった。
「断言は出来ませんが、素直に考えるとこれまでに一哲宅に来た者は軒代稼ぎの者が三名、金貸が三名です。その六人を呼びつけるのですから金が集まる所は一哲の所と考えるのですが・・」
「用心棒と思われる者が八人も居ると言うのも、その金を守るためと考えるのが素直ですね」

 兵庫と内藤の話が同じ結論になったところに政吉がやってきた。
「先生方、今日は客が一人も来ていません。ただ、これまで姿を見せなかった者たちの姿が生け垣を通して確かめられました。竜三郎さんの話では明日八人の用心棒らしき者たちが揃うそうですが、その半数が既に入っていたのですね」
「明日は残りの半数がやってきて、交代するわけです」
「八人も用心棒を抱えるとは・・かなり儲けていると云うことに成りますね」と内藤が話に乗って来た。

Posted on 2024/03/02 Sat. 04:00 [edit]

【鐘巻兵庫 第193話 夏の虫(その14)】 

 押上で昼飯を済ませた兵庫は、妻の志津に内藤さんの所に行くと告げ再び外出をした。
その途中、聖天町の仕出し屋・喜楽を訪ねると、既にましらの仲間の一人、島次郎が来ていて、喜楽の商いの概要を学び始めていた。
「島次郎さん、喜楽の者に成りきって下さい」
「はい、先程芝居小屋に仕出し弁当を届けに行きました。商売もやってみると、多くの人と会いますので面白いですね」
「明後日には、癖のある方々に会えますから楽しみにして下さい」
「はい」
「私は暫く養育所の内藤さんの所に詰めますので、何か在りましたら使いを寄越して下さい」
「わかりました」

 暫くして、兵庫は内藤と向かい合い、ましらの仲間から届けられた調査内容を見せてくれた。
兵庫はそれを読み、暫く瞑目した。そして
「これを読むと、先日百姓家、すなわち、一哲の所に来た市ヶ谷の者と四谷の者は本日午前中の調べでは、深川の瑞穂屋とは違い、町の店から軒代を強要するものではなく、金貸しのようだと記されていますが、これを調べた千恵蔵さんと紋次郎さんは他に何か言って居ましたか」
「書かれて居ることは昼前に戻って来たお二人から聞いたことで、金貸が全うなものか否かを確かめるため本所荒井町の金貸の八兵衛さんに相談し、出来ればお出ましを戴こうと云って居ました。そうなった時でも夕方にはここに戻るとのことです」
「昨日は一哲の所には軒代稼ぎの瑞穂屋と金貸しが二軒来ていたことに成りますね」
「そう成りますが、金の流れは軒代の一分が一哲経由で金貸しの所にと考えるのが素直だと思います」
「要するに軒代で稼いだ金を更に金貸しに託し増やす仲間と云うことに成りますね」
「仲を取り持つのが一哲ということですか」
「内藤さんには未だ話して居ませんが、喜楽の竜三郎さんから聞いた話ですが、一哲さんは喜楽の上客だそうです。それで明後日の五日に八人の客が来るそうで、その饗応の手伝いのため喜楽の者たちが入り裏方として働くことになっているそうです」
「それは初耳です。その裏方の中に新選組の者が入る訳ですね」
「はい、島次郎さんが入ることに成り、喜楽で勉強を始めました」
「それで饗応する客とはどの様な者なのでしょうか」
「竜三郎さんの以前の経験では八人のごつい客だそうで、侍が二人とやくざ者が六人だったとか・・」
「その八人の役割は何でしょうか」
「それは分かって居ませんが、竜三郎さんの話では饗応の後、半数は帰ったそうですから、用心棒のような気がしますが」
「と云うことは、一哲の所にもかなりの金が有ると云うことに成りますか?」
「先ほど考えた金の流れ、軒代の金が金貸へ流れるのではなく、軒代の金も、金貸しが稼いだ金も一哲の所に集まると考えると、用心棒も必要になりますね」
「何かまだ、落とし穴があるような気がしますね」
「その落とし穴に落ちないように、調べに念を入れましょう」

 兵庫と内藤との話が一段落したところに政吉がやって来た。
「喜楽に行ったら、島次郎から先生がこちらに詰めると聞き参りました」
「今日、客は来ていますか」
「はい、三人来ましたが既に帰り、手分けして後を追って居ます」
「知らせが戻るのは夕方か・・」
「そう成ります。今夕に聞くのも、明朝聞くのも似たようなものですから、今日は押上にお戻りください」
「そうさせてもらうよ」

Posted on 2024/03/01 Fri. 04:00 [edit]

【鐘巻兵庫 第193話 夏の虫(その13)】 

 程なくして兵庫が政吉等の見張り場に近づくと、物陰から政吉が姿を見せた。
「先生、此方に来られるとは思っても居ませんでした。何か?」
「山崎さんの所に寄って話し合い、たどり着いたのが小塚原近くの元三親分の子分で、現在は喜楽で棒手振りとして働いて居る・・」
「保五郎さんと作次さんに中を調べて貰うのですね。・・名案ですね」
と、政吉が先を呼んで応じた。
「はい、その名案を実行するため聖天町の喜楽の主・竜三郎さんに相談に行きました」
「二人は無理でしょうが一人を借りられましたか・・」
「それよりも、良い話です」
「聞かせて下さい」
「先ず、百姓家の住人は一哲さんと云うお方だそうです」
「そうです。こちらも調べて判りましたが、結構苦労しました。どうして竜三郎が知って居るのですか」
「それは、喜楽の良い御客のようです」
「どう云う事ですか」
「どうして、良い客に成ったかは聞きそびれましたが、一哲が毎月人を呼び、その際に喜楽の仕出し弁当の他に、汁物を作ったり酒の支度をしたり喜楽の者が来て饗応の裏方をして居るそうです」
「おお~、その裏方に入れて貰いたいですね」
「それでは明後日の五日の日に一哲が人を集める予定に成っているとのことですから、その饗応の手伝いとして一人をましらの皆さんの中から選んで下さいと、竜三郎さんから頼まれました。誰か選んで、今日中に喜楽に送り込み、事前の準備をさせて下さい」
「分かりました。さっそく手配いたします」
「それでは、私は山崎さん、山中さん、岸田さんの所に行き、変った段取りについて知らせてきます」
「ご苦労様です」

 兵庫は急ぎ足で、駒形の山崎に、さらに長者町の笠原道場により山中碁四郎と岸田文吉に進められていることを話し、押上に戻った。

Posted on 2024/02/29 Thu. 04:00 [edit]

【鐘巻兵庫 第193話 夏の虫(その12)】 

 山崎に昨日までの状況を話し、意見を聞いた兵庫は
「百姓家内の守りについて調べるように政吉さんに頼んできます」
「それでしたら、聖天町に寄り、棒手振りの仕事をしている、小塚原の元三親分の所から来て棒手振りの仕事をしている・・」
「保五郎さんと作次さんですね。分かりました、手伝って貰えるか聞いてみます」

 駒形の料理屋・たちばなを出た兵庫は、同じ浅草の聖天町で仕出し屋をしている喜楽の暖簾を潜った。
「先生、いらっしゃいませ」と竜三郎の妻おときが迎えた。
「旦那は居ますか?」
「はい、呼んできます」
 待つことも無く奥から喜楽の主・竜三郎が姿を見せた。
「先生、お久しぶりです。御用は?・・・」
「こちらから日光街道を千住方向へ進みます。その左手の町並が途切れた所に建つ百姓家に私達が目を付けたのです」
「仕置き場の手前ですね」
「ご存知ですか?」
「はい、喜楽の上客なのです」
「上客? と云うことは竜三郎さん、挨拶に行ったことが在りますか」
「勿論ですが、先生に目を付けられたとなると、悪党ですね」
「私たちが運営している料理屋・かすみに軒代を取りに来た者たちが、軒代の一部を納めに訪れた家なのです」
「そのような商売をしていたのですか、一哲さんは・・」
「ここにきたのはその一哲さんと、中にどれほどの者が守っているのかを調べるため棒手振りさんの力を借りに来たのです」
「それでしたら。明後日の五日、喜楽の者が一哲さんの所に仕出し弁当を運びこむのと、汁物、酒などを用意することに成っています。その中に何方か一人を入れて頂ければ、中の様子が分かりますよ」
「竜三郎さんの口ぶりから、これまでにその集まりのために自らは入られたと推察します。その時、無骨なものが何人ほど居ましたか」
「先ず用意しました弁当は九人分でした。侍は二人、やくざ者と思われる若党が残りの六人でした。ということで一哲以外、皆、無骨者でした。ただ、半数はその日の内に帰りましたので、残る無骨者は四人ではないでしょうか」
「分かりました。その事は明後日に確かめることにします。それと女の話がありませんが、いないのですか」
「居ます。奥さんと手伝いの娘が一人で日頃の食事を作って居るようです」
「何となく見えてきました。これから見張りして居る所に行き、政吉に明後日に喜楽の者として一哲宅に入る者を選ぶように伝えて来ます。いろいろ有り難うございました」
「ご苦労様でした」
 喜楽を出た兵庫は一哲宅を見張る政吉等の所へ向かった。

Posted on 2024/02/28 Wed. 04:00 [edit]