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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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【鐘巻兵庫 第107話 順応(その20)】 

 兵庫が押上に戻って来て、妻・志津を養育所内に入れると己は茶店に入って行った。
そこには髪結い修行に取り組み始めた六助が常吉の頭を触り、常吉の妻のお仙が六助の手の動きを見ていた。 
「六助さん、常吉さんの後に私の髷の結い直しをお願いします」
「えっ、いいんですか」
「何ですか、その言い方は。不安になってしまいます」
「そうではないのです。只で良いので髪を結い直させてくれと頼んでも駄目だったものですから、まさか頼まれるとは考えても居なかったのです」
「髪結いを初めて、昨日の今日だから、それを知る者は遠慮するのでしょうが、修行に協力出来ないようではいけませんね」
 兵庫が六助の髪結い修行に頭を貸して居ると、冬支度をして膨らんだ新藤が天道そして平田を連れて茶店に入って来た。
「ハゼ釣りの道具を貸して下さい」
こうして保安方の三人が北十間川に竿を並べ、ハゼ釣りに興じ始めた。
元はと云えば兵庫が新藤に、押上に来ている時は正月料理に使うハゼを多量に釣るように頼んだのだ。それが一人では無理と思ったのか、子供たちが勉学中は手の空くご同役の保安方に声を掛けたようだ。
乗り気ではない仕事だったが、比較的方の良い型のハゼがよく釣れたため、正月の甘露煮に貢献できると熱中させたのだ。
 兵庫は何度か元結を解いたり、結ばせたりさせていたが、
「手を休めて下さい」と云い、結い終ると座を立った。

 母屋の各部屋では子供たちの手習いが行われていた。そこには駒形からやって来た先輩の子供たちが助手として付き添っていた。
そして、その助言を新人の子が素直に受け入れていた。
それは新人の子供たちが養育所に順応する速さを速めるもので、養育所としては喜ばしいものだった。

 部屋を出て庭を見ると、大工修行を始めた総三郎と浜吉が鋸に目立てヤスリの掛け方を彦次郎から教わる姿が見られた。
兵庫が草加宿から連れて来た男たちは、これまで己が馴染んできた暮らしから脱皮するのが困難と思い新しい役割を与える機会を遅らせて来た者たちだった。
しかし、兵庫が抱いていた危惧を男たちは見せることなく新しい役割に順応しようと取り組んでいた。
「取り越し苦労だったか」兵庫は呟いた。
嬉しい誤算であった。

第107話 順応 完
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Posted on 2018/04/11 Wed. 04:01 [edit]

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janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第107話 順応(その19)】 

 嘉永六年十一月七日(1853-12-7)が明けた。
子供たちが増えたこともあり、子供たちが住む養育所は駒形、押上、中之郷元町、向島の四か所に在り食事の支度が始められる。朝食の時刻は五つ前後でそれまでの間、食事作りに携わらない者は商いの支度や店を開けるたり私用に取り組むことになる。
 養育所には向島を除いて剣術の道場がある。
駒形の道場はここに来て養育所が再開されたことで、裏庭も道場として使われるようになった。師範は霞塵流三代目山中碁四郎で浅草側に住む者が通うことに成る。
押上の庭道場には、道場を持たない向島から通う者と、一分中之郷元町から通う者が加わり広い庭道場を埋め尽くすことになる。師範は地天流の鐘巻兵庫である。
中之郷元町には屋根の付いた道場が在るが、抱える住人に比べて狭いため、朝稽古は入谷から最後にやって来た子供たちと、大人たちが稽古を励む場所に成って居る。師範は兵庫の弟子根津甚八郎である。

 子供たち、とりわけ男の子にとって剣術の稽古に参加することは、いままで置かれていた浮浪の身からの飛躍であり、晴れがましさを感じさせるものでもあった。
稽古は決して楽ではないが、浮浪の暮らしの苦難とは異なり、己の成長を約束させるものであり、子供たちは絶えた。
 一年足らずだが真剣に稽古を続けて来た、今駒形にいる子供たちは腕前を上げたが、それ以上に日っとして育って居た。
強さを決して、浮浪時代にいじめられた子供たちに向けることは無く、むしろ弱い者に対する優しさを育てて来た。
それは侍でありながら弱い者たちへ優しい剣術の師範の兵庫や碁四郎の生きざまに日々接して来たことで自然と身に着けたものだった。
浮浪時代に身に着けていた他人に対する殺気めいたものから、見事に衣替えをしていた。

 昨日まで小僧奉公に出ていた子供たちは気付いて居なかったが、鹿島屋の小僧・昇太は音吉に、料理屋たまいの下働きのきよは虎次郎に、宝来屋の小僧・国吉は熊五郎に、そしてやなぎやの主の彦六やお勝は亀次郎に優しさと居心地の良さを感じて居たようだ。

 その一つが、朝食を亀戸のやなぎやに出向いた志津と兵庫の前に座る彦六とお勝そして亀次郎から話された。
「先生、奥様、わざわざお越し頂き申し分け御座いません。こちらからお伺いして断られるのが怖かったのです」
「養育所は子供の意思を尊重します。養育所に入る時も出る時もです。ですから亀次郎にその意思を確かめに来たのです」と兵庫が言い
「亀次郎、彦六様とお勝様の所で一緒に暮らすことを選びますか。もしそうなら母は嬉しいですよ」と肯定的に返事を求めた。
「はい、母上様。私は御爺様とお婆様と暮らしてみたいです」
「分かりました。彦六様、お勝様、亀次郎の願いを叶えて頂けますか」
「亀ちゃんと一緒に暮らせる以上の喜びは御座いません」
「それではこうしましょう。亀次郎は未だ七歳で学ばなければならないことがあります。ここから押上に通い学びなさい出来入れば元服するまで。そして友を増やすことをしてみませんか」
「有り難うございます。願ってもないことです。良かったな、亀ちゃん」と彦六が応えた。
「はい、先生、通わせていただきます」
「そうか、それではお前の私物が駒形に在るので押上に移しておくので引き取りに来なさい」
「先生、お礼を言わねばならないので、爺様を案内して駒形に行きます」
「皆が気にして居たからその方がいいですね。どの養育所にも出入りは自由だから今後も遠慮しないで下さい」

 やなぎやを出ての帰り道に志津が
「亀次郎が養育所を出て近くに住んでくれたことは養育所にとって良かったですね」
「そうですね。養育所のことを良く知っている亀次郎が町屋暮らしを始めてくれると亀次郎を通じて養育所の理解が進みますからね。子供たちが町の暮らしに順応するように、養育所が町に順応出来るような気がします」
「養育所は町に順応しようとしてきましたよ。今度は町が養育所に順応する仲立ちを亀次郎が担ってくれるでしょう」

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Posted on 2018/04/10 Tue. 04:01 [edit]

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janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第107話 順応(その18)】 

 つぎの目的地、富沢町に在る料理屋・たまいを目指し歩き始めた新藤が振り返り文吉を見た。
「額賀様は養育所設立の志と金を残して死なれた方です。先生は養育所の設立を願い出、昨年暮れ駒形に額賀様の遺志を継ぐ意味を込め継志館の名を付けた養育所を設立したのです。額賀様がどのように死なれたかは聞かされて居ませんが、初めてお参りした時はお子様と石を並べたみすぼらしい墓でした。なにか語られない事件が在ったようです。その事件が無ければ、ここに誰も居なかったことだけは事実です」
「と云う事は、わしにとっても恩人と云うことに成るのかな」
「たぶん」

 一行が立ち寄った富沢町のたまいでも主の石松が預けて居た虎次郎を誉め、次の本所柳原町の油問屋・宝来屋では熊五郎が三代目の主・雄介から褒められた。
そして亀戸の古着屋・やなぎやに亀次郎を引き取りに暖簾を潜った。
そこには主の彦六が座っていた。
「新藤様、婆さんが亀次郎さんを帰すのは夕飯を一緒に食べてからにしたいと駄々を・・」
「分かりました。それも亀次郎が望むことでしたら、このまま戻りますので亀次郎を呼んで頂けませんか」
彦六は新藤を見たと云うより睨み付けた。
「分かりました。分かりました私は外へ出ますので、仲間の大助に本心を伝えて下さい」と云い、大助を残し残りは外に出た」
「残して来た大助が外に出て来るまで大した間を必要としなかった」
「亀次郎兄さんは母上によろしくと申していました」
「分かった」と新藤は中に聞こえるように云い、店から離れていった。

 駒形に戻って来た子供たちを兵庫は笑顔で迎えた。
「短い間でしたが感じたことが在れば聞かせてください」
「浮浪の時を思えば大した苦労では在りませんでした」
「浮浪の時よりは食べる苦労は在りませんでしたが、あまり旨くは在りませんでした」
「馬鹿にされずに済んだのは、少しでも読み書き計算が出来たからかもしれません」
「それと、亀次郎からは奥様に宜しくとのことでした」
「明日、志津を行かせ、亀次郎が望むように取り計らって貰います」
「明日からは何をするのか予定めいたものは在るのですか」と文吉が尋ねて来た。
「朝食までは朝稽古と小僧奉公でしたような手伝いを頼みます。稽古は山中さんに頼んでおきます。午前中は年長、年中、年少の三班に分かれ、押上で後輩の勉学の世話をしなさい。午後はそれぞれが望む師を見つけ教えを請いなさい。二人以上の行動は自由にします」
「えっ・・そうなると保安方の私は何をすれば・・・」と新藤が戸惑って見せた
「朝食前は稽古に参加してください。昼食までは押上詰め、昼食は駒形で、午後は私の草鞋、ハゼ釣りに付き合って下さい」
「これから、毎日ですか」
「運が悪ければそう成りますが、きっと何かが起こります」
「果報は寝てではなく釣りをして待てですか」
「寒いですから、一枚着込んで下さい」
「本当にそれで宜しいのですか」
「草鞋造り、ハゼ釣り出なくても構いません。何かやってみたいことでも在ればそれでも構いません」
「何かありますか」
「茶なら向島の縫殿、書なら内藤さん、箏ならお玉、鍛冶なら辰五郎、銀細工なら栄吉さん、絵なら太白先生、盆栽など植木なら佐吉爺さん・・・」
「不調法なので釣りにします」
「正月の甘露煮用に頼みますよ。子供だけでも八十人以上居るのですからね」
「そうなると、一人で竿を何本か持たないといけませんね」
「その調子です。私はこれから山中さんに朝稽古は駒形に行くように頼んで押上に戻ります」
 兵庫はその言葉通り、船宿・浮橋に主の山中碁四郎を訪ね、明日からの朝稽古は駒形で指導するように頼み押上に戻った。
「子供たちの小僧奉公は無事終わりましたか」
「一人戻らなかった子が居ましたので明日、その意思を確かめに行って下さい」
「亀次郎ですね」
「分かりますか」
「亀次郎が選んだのは、他の奉公先にはない彦六さんとお勝さんの家族的な雰囲気がありますからね」
「なるほど」
「養育所の大家族より両親を独占できる、いわゆる普通の家庭が在ったことと、彦六さんとお勝さんも跡取りが欲しかったのでしょうね。良いめぐりあわせでしたね」
「聞くところによりますと、小僧奉公に行く店を五軒あげたところ、亀次郎がいち早く“彦六さんのお店に行きたい“と云ったそうです。家族を持ちたいと思う気持ちが人一倍強かったのでしょう」
「明日、行って来ますが、亀次郎が喜べる結果出るようにしたいですね」
「頼みます」

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Posted on 2018/04/09 Mon. 04:01 [edit]

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janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第107話 順応(その17)】 

 駒形の様子を見た兵庫は入谷の竜三郎の店に入った。
「いらっしゃいませ」と男の声が兵庫を迎えた。
旅籠修行をすることに成って居る喜重だった。
「やって居ますね。皆さんは?」
「島吉は二階で納戸と座敷の間を往復して布団の上げ下ろしの練習をしています。圭次は部屋の掃除を繰り返しています。岩五郎さんは奥で千夏さんにしごかれています」
「そうですか。一声かけてきます」と兵庫は上がり、台所で千夏、小夜そして岩五郎に、二階に上がり島吉と圭次に声を掛け、笑顔を引き出し入谷の店を出た。

 暫くして兵庫は昇龍院を訪れ、脇門を押し庭に入った。
いち早くそれに気づき浜中が姿を見せた。
「ご苦労様です。如何ですか」
「保安方の仕事の一つは退屈に負けない事だと初日に悟りました」
「暇を持て余しているお方が他にも居ますから、眠らずに待って居て下さい」
「分かりました。将棋盤は何処に置いてありますか」
「和尚が居る庫裏です」
「和尚に運べますか」
「無理でしょう」
「少しの間なら昇龍院を空けても構いませんから、和尚に盤と駒を借りに行って下さい。盤と駒を人質に取って置けば、和尚も来やすいでしょう」
「そうします」
「暇が嫌でしたら、じょうずに負けるようにして下さい」
「和尚も同じことを考えているかもしれませんね」
「なるほど、それでは最初は双方真剣勝負ですから負けないように」
「頑張ります」

 昇龍院から兵庫は駒形に戻った。
小僧奉公を体験しに出た子供たちが、夕方に戻ることに成っていたからだ。
 その子供たちを引き取りに預け先に出向いたのは駒形の保安方を任じられた新藤栄二だった。
新藤は出かける時に隣の継志堂に小僧奉公をさせていた文吉と草加宿から戻っていた観太と大助を伴っていた。

 最初に訪れたのは内神田三島町で剣術道具を商う鹿島屋だった。
新藤が店内に入ると、小僧奉公をしていた音吉が小僧の昇太とやって来た。
「観太兄さんに大助、草加宿から戻って来たのですか」
「機会が在ったら、音吉も行った方がいいぞ」
「大人数の仲間が加わり、兄上も忙しいです。それとこの月の末は額賀様の丸一年のご命日ですから江戸から離れさせてはくれないでしょう」
「なんだ額賀様の命日とは」と新藤が尋ねて来た。
「新藤様、話すと長く成りますのでその話は、ここを出た後歩きながらお話しいたします」と文吉が言った。
「そうだった。鐘巻先生が駒形でお待ちだ。皆を引き取って戻るのを急がねば・・・」
と新藤は店の奥へと進み、番頭の寿助に頼み、主の徳兵衛を呼んでもらった。
「新藤様、有り難うございました」と先を越されて礼を言われてしまった。
「礼を言わねばならないのはこちらですよ。身勝手なお願いを快く引き受けて頂き有り難うございました」
「当初はそう思って居たのですが、音吉さんには色々と気付かされたのです」
「例えば?」
「音吉さんには、主の私がしなければならない昇太の手習いごとを夜遅くまでさせてしまったことです」
主は雇い人を小僧、手代、番頭と育てるために読み書きから教えて行かねばならないのだ。
仕事が多忙のためか、雇い人の教育を怠る雇い主は少なくなかった。
「お役に立てたのなら音吉も嬉しいでしょう」
「徳兵衛様、寿助様、昇太さん、お世話に成りました。良い経験をさせて頂き有り難うございました」
音吉を加え一人増やした一行は鹿島屋を後にした。

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Posted on 2018/04/08 Sun. 04:01 [edit]

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janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第107話 順応(その16)】 

 総三郎と浜吉が大工修行の名のもとに薪切り、薪割を始めた頃、髪結い修行を命じられた六助は茶店の軒下に置かれた縁台に座り、通りと十軒店に目を配っている常吉の後ろにお仙と立って居た。
髪結いを教えるのがお仙で、頭を触られるのが常吉の様だった。
 兵庫はその様子を少し離れた十軒店の土手沿いに立ち、妻志津がお園と佐保が表口から出て来るのを待ちながら、眺めていた。

 表口の格子戸が開き、女の子たちが出て来て並んだ。
暫くして千丸を抱く志津、風呂敷包を持つお園、佐保に続き娘二人の私物が入った行李を担ぐ佐助と松助が出て来た。
お園と佐保は見送りの者たちに頭を下げ、向島へと向かった。

 向島に着くと、そこには縫の娘の花代と染が賄いの手伝いに来ていた。
実は向島の家が養育所に成ったのは最近のことで、裏に出来上がった長屋に子供たちが住むようになってからだ。
それまでは村上茂三郎と縫夫婦一族が住み、賄いも一族で行っていた。
それが、子供たちが入った後も暫く続き、押上の養育所の手助けも受けながらなんとかしていた。
養育所の賄いが入ったのはつい最近のことで、それが千夏と小夜だった。
しかし、その千夏も小夜も入谷に行ってしまい、戻って来ない。
代わりに志津に伴われてやって来たお園と佐保が、縫の前に座った。
「縫様、色々と有りましてご不自由をお掛け致しております。千夏と小夜は新しく始めます旅籠稼業に専念させることにしました。今日連れて来たお園と佐保は店で働いた経験もあり、押上でもすぐにでも役立つことを確かめました。養育所の賄いにお使いください。なお、養育所に来てから未だひと月と短いので、多々お気づきに成ることも在るとおもいます。ご指導いただければと願っております」
「女は先ず料理です。うちの娘たちも鐘巻様のお世話になってから気付き遅ればせながら始め、三人そろって男の胃袋を掴むことが出来ました。お園さんと佐保さんは料理の方が出来るのですから、他のことは直ぐに身に付きますよ」
「お園、佐保、お前たちに不足して居ることはここで学べます。ここに来ても養育所の子であることに変わりは在りません。常に学ぶよう、心がけなさい」
「はい、兄上様」

 向島から押上に戻った兵庫は養育所に入らずに、駒形へ向かった。
養育所に着き、暖簾を潜り店内に入ると、裏庭で遊ぶ子供たちの声が聞こえて来ていた。
その声に誘われて奥へと進むと台所には、お雪、お糸、お岸、お定そして卯吉が働いていた。
そこを抜け裏庭に出ると観太と大助が預かっている子供四人と遊んでいた。
障子が開き内藤虎之助が廊下に姿を見せた。
「鐘巻さん、観太と大助も賄い仕事を手伝っていると云うことに成りますね」
「その様ですね。観太と大助が預かり所の女の代わりに子供の世話をするので女が働ける訳ですからね」
「やくざ者だった卯吉が、賄い仕事人に生まれ変わろうとしています」
「やくざ者であったころは他に何か出来るものが在るなどとは考えもしなかったのでしょう。何かを見つけた子供のように夢中になってくれれば良いのですが」

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Posted on 2018/04/07 Sat. 04:01 [edit]

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