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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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【鐘巻兵庫 第78話 多忙につき(その20)】 

 目の前で起こったことは、この月の五日に、この場所で起きたことと酷似していた。
その時、兵庫はその事件に立ち入らず、店に引き篭もった。
しかし今回は倒れた二人に向い走っていた。
それには訳が在った。
前回の争いで八木を襲い返り討ちにされた侍には理を感じられなかった。
しかし今回は理を感じたのだ。
 その一つが襲った者が発した「兄の仇」だ。
背後からの襲撃で一見卑怯と思えるが敵討ちに関しては仇を討ち取ることが何にも増して大切なのだ。綺麗ごとを言って返り討ちにあっては笑いものに成りかねない。
日本三大敵討ちと後に言われる、曽我兄弟、荒木又右エ門、赤穂義士も夜襲、奇襲、夜襲と正々堂々とは言えないものばかりなのだ。
 その二が、仇を倒し絶命を確かめると、自刃したことだ。
襲った者にとっては兄の仇でも、滞っている目付の詮議が始まれば死んだ兄は罪人となることは分かり切ったことだった。
兄が罪人と成る前に仇を討ち、自刃することで已むに已まれぬ侍としての証を立てたと兵庫は思ったのだ。
 更に言えば、討たれた八木にも感じさせられた。
右肩を斬られ、左小手を打ち落とされては、もう刀を持っては戦えない。相手の発した「兄の仇」を受け入れ胸を出した八木に、得も言われぬものを感じたのだ。

 倒れた二人の死を確かめた兵庫は、町方役人が来るまで、その場に留まった。
町中で起きた事件だが、起こした当事者が武家で在るため、町方役人の役目は目付方が来るまでの現場保存と、目撃者からの聴取を済ませ、目付方の調べを助けることだった。
兵庫は、やって来た岡っ引きの勇三に見聞きしたことを伝え、地天屋の暖簾を下ろした養育所に戻った。
 三人の弟子とその妻たちと、思い出話に花を咲かせ、起きた事件を忘れさせようとして暫く経ったところで兵庫が、
「手伝いに来て貰い助かりました。皆さんは、もう遅いのであとのことは私に任せて戻りなさい」
 六人が帰り暫くすると、南町定廻り同心の久坂啓介と目付方下島鎌三郎と婿養子に入った高倉健四郎こと下島健四郎がやって来た。
「先生、ご無沙汰しています」
「このようなことが起きなければ会えないのは少々寂しいですね」
「先生、此方に来られないのは、このような事件が多いからです。駒形で起きたと聞き志願して参りました」
「そうですか。事件のお蔭ですが、失礼ながら少々言わせて頂きます」
と兵庫が云うと、下島鎌三郎が制止させようと手のひらを兵庫の顔の前に出し、頭をさげた。
「いや、面目ない。黒船が来てから国事が多忙と成り浦賀に出向く者も多く詮議が出来ない状態に陥って居る。出歩かぬようには言ってあるのだが、待たせ過ぎたようだ」
「国事多忙につき・・・ですか」
「ここも忙しかったようだが、黒船が来たことで国事を扱う幕府が一番忙しくなった。アメリカ国との話し合いは九日に終わったと聞いているのだが、昨日は品川沖まで入り込み空砲とは言え大筒を撃ち、威嚇しやがった。早く消えて貰わねば・・国事多忙は終わらない。いつになることやら」
「初めての事ですから、理解はしますが、又来るでしょうから、その時に“多忙につき”などと言い訳をしないよう、早番、手当をして欲しいものですね」

 この後、先ほど起きた事件の話に移り、兵庫が勇三に話したことが確かめられたうえ、目付詮議後の裁きで起きると考えられる問題が下島から語られた。
「分かりました。引き受けます」
「お願いします。それでは多忙につき、引き上げさせて貰います」
皆が帰って行き、具足商いの地天屋を閉め、暇に成った兵庫が残された。

第七十八話 多忙につき 完

 皆様の激励が明日への力に成って居ます。

Posted on 2015/11/17 Tue. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第78話 多忙につき(その19)】 

 甚八郎らが押上から運んできた荷を地天屋に入れて間もなく、朝に在った五十一組の具足が売り切れた。
地天屋内部から客が消えた所で、運び入れた葛籠が開けられ、十六組の具足が取り出され展示されていった。
「先生、先ず御三方を入れて下さい」と戸を開け、首を出したお琴が言った。
兵庫は頷き、
「これから御名を呼ばれた方は店にお入り下さい」と云い、名簿に書かれていた上位三人の名を読みあげた」
待たされて居たことに不満を云うことなく、中に入っていった。
三人は上がらされ、試着場に案内されていった。

 またお琴が顔を見せ、
「お客様に中で並んで頂きますので、順番に御一人ずつ入れて下さい」
お琴の声は待って居る武家にも聞こえ、兵庫に名を呼ばれるのを待ち、入り整然と並んでいった。
「先生、今のところ中に入られた方は九人ですが、それでよろしいですか」
「はい、残りは七人です」
その七人は夕飯を食べ終わったのだろう、次々とやって来て、最後の客の名が名簿に書かれたのは七つ半頃だった。
兵庫は地天屋の暖簾を下ろし中に入れていると、武家が入って来た。
「申し訳ありません。売り切れました」と帳場の内藤が告げた
「そうですか。次の入荷はいつですか」
「もう入荷は在りません。注文したのは千組で、それが間もなく売り切れれば廃業いたします」
「廃業・・・」
武家は帰って行ったがその後も同じような武家が来て、店の外で兵庫から売り切れ店仕舞いを聞かされ渋々帰って行った。
そして、店の中から店の者がぞろぞろと、最後の客を囲み出て来た。
「先生、地天堂最後のお客様です」
「有難う御座いました。ご武運を祈っております」と頭を下げた。
最後の客が気分良くして駒形堂の方に去っていくのを皆で見送っていると背後から、
「もう店仕舞いとは早いですね」
振り返ると見覚えのある顔が笑っていた。
「貴方は確か八木殿。詮議は無事に終わったようですね」
「それが終わっては居らぬのだ。目付からは“国事多忙につき詮議は後日、出仕に及ばず”と云うことだ」
「そう云うことでしたら、あまり出歩かぬ方が宜しいのでは・・」
「そうだが、出仕に及ばずと云うことで、こちらで手に入れた物を出仕する者に売ることになってしまったのだ。それで、買いに来たのだ」
「そうでしたか。しかし、今見送ったのが最後の客で、売り切れとなり、目出度く店仕舞いすることに成りました」
「それは弱った。用意が無いと出仕の折り恥をかくことになる。どうにかならぬか」
「その心配は無用になるでしょう」
「どう云うことだ」
「国事多忙につき出仕に及ばずです。国事とは黒船のことと考えれば、八木殿の詮議が始まるのは黒船が去った後。もう役にはたたない具足など不要でしょう。具足商いも止め時なのです」
「いや、あの具足は役にたった。こうして生きて居られるのだからな。だが、黒船が去ったのちは戦支度はせずとも良さそうだな。懐の三両二分二朱使わずに済ますことにするよ」
八木が来た道を戻って行くのを兵庫等が見送っていた。

 それは突然起こった。
八木の後方に現れた影が、抜いた刀を振り上げ右肩に振り下ろしたのだ。
そして振り向いた八木の頭部に再度振り上げた刀を振り下ろしたが、それは無意識で上げた八木の左小手を両断し飛ばした。
右肩を深々と斬られ、左小手を打ち落とされた八木は刀も抜けぬままに、「何ものだ」と問いただすのが精一杯だった。
「兄の仇。覚悟しろ」
ことの次第を知った八木は覚悟を決め、「刺せ」と胸を自ら押し出した。
次の瞬間、ぶつかる様に突き出した刀が八木の胸を貫いた。
堪えていた足の力が抜け八木は崩れ落ちた。
襲った男は八木の絶命を確かめると、脇差を抜き、己の腹に一筋入れ、更に首を掻き切って、地に伏した。

 皆様の激励が明日への力に成って居ます。

Posted on 2015/11/16 Mon. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第78話 多忙につき(その18)】 

 暫くすると、表座敷に上がり順番待ちをする客が一人、二人と出てきて、表座敷に座り始めた。
客は上がる前に、三両二分二朱は負けないことと本日売り切れ店仕舞いであることをきかされた。
黒船が品川沖まで来たことで無用の長物を買わされることに成り渋い顔を見せる者が多いのだが、間に合ったことに安堵する顔もあった。
また一月末から近隣に配られた引札を懐から出し、それに書かれた一両二分二朱を見て同じものが今の半値以下で買えたことを改めて知り、膝の袴を掴み悔いている者も居た。

 人の出入りが繰り返された。
貧乏旗本御家人にとって、三両二分二朱の買い物は慎重にならざるを得ない。その為に四半刻(約30分)の時を要した。ただ世話人が三人居るので、今の時間に置き換えると十分に一人の客が買い物を済ませ店を出ていくのだが、来店する客はそれより多く、表座敷に待たされる客が五人に成った。
「鐘巻さん、あと二人入れますが、そろそろ入場制限をお願いします」
兵庫は土間に下り、置かれていたターフル(テーブル)を店の外、廂の下に据えて戻り、紙・硯・筆・文鎮を受け取り、それをターフルの上に置いた。
しかし、昼飯で着付け役の三人がわずかの間休息を取って居る時でも入場制限するほど、客は来なかった。
その時までに、客として店を出て行ったのは二十六人で、座敷に待たされていた客の五人にも出された握り飯と茶が出され、帳場の内藤、奥村そして兵庫らと軽い昼飯を食べた。

 午後の商いが始まった。
在庫は二十五組と少なく、夕七つに十六組の入荷まで持つか微妙な数と成って居た。
客足は午前とあまり変わらず、時が立ち、八つ(午後2時頃)の鐘の音が聞こえてきた。
「鐘巻さん、午後は十組売れ、五人が試着場と控え部屋に居ます。あと十人で在庫が無くなりますので一旦入場制限して下さい。その後の客は、来た順に十六人の名簿をお願いします」
「あと十人、分かりました」
 八つも四半刻過ぎた頃から客足が繁くなった。
どうやら、仕事を終えた者がやって来たと思えた。
店頭に立つ兵庫は十人を店に入れると戸を閉めた。
そして、その後、僅かな間をおいてやって来る者に在庫が切れ、次の入荷が七つ過ぎになることを伝え、それで良ければ名を書いて貰い、中が空くまで暫く外で待って貰うことにした。
こうして購入予定者名簿を作っていると、七つの鐘が鳴った。
この鐘の音が兵庫を荷がやって来る方向にある駒形堂に向けさせた。
そして見た。
「甚八郎、源次郎、富三郎か」
兵庫が見たものはその三人が牽いてくる大八車と、後ろにはそれぞれの妻、お琴、お道、さえが従って居る光景だった。
六人が揃ってやって来た訳は兵庫にはすぐに分かった。
三人は兵庫が具足商いを始めた切っ掛けを知る者で、その商いはさえを呼び込み、男三人と女三人は恋に落ち、育み育て、困難を乗り越え添い遂げたのだ。そこには常に具足商いがあった。
「先生、最後の荷を運んで来ました。それを先生と送り出しに参りました」
「荷は運び入れて下さい。私はそれを買ってくれる十六人の名を今、集めているところです」

 皆様の激励が明日への力に成って居ます。

Posted on 2015/11/15 Sun. 04:01 [edit]

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janre 小説・文学

【鐘巻兵庫 第78話 多忙につき(その17)】 

 十一日、女の子たちとする早朝散歩の付き添いを近藤小六と佐吉に頼んだ兵庫は、昨日仕上げた具足三十二組を常吉と大八車に乗せ、駒形の地天屋に運んだ。
暖簾の出ていない地天屋に首を突っ込んだ兵庫は、
「荷を持って来ました。手を貸して下さい」と声を投げ入れた。
押上の朝稽古に参加するために稽古着に着替えていた乙次郎と仙吉が出てきて荷を運び入れ代わりに空の葛籠を乗せ、常吉と三人で押上に戻っていった。
兵庫は帳場に出て来た内藤が座るのを待たずに残りは
「昨夕やって来た山中さんから、黒船が品川沖まで入り込んだことを聞きました。昨日はどうでしたか」
「八つまで一刻に二人ほどで、さっぱりでしたが、夕方から尻上がりの混みように成りました。残りは二十ほどです。先ほどは何組入れて頂けましたか」
「三十二組です。残りの十六組の押し上げ出荷は夕七つの予定です」
「本日中に売り切れてしまうでしょうが、客が多いと最後の客を決める時もめそうですが」
「そうですね。常に在庫数を把握して、それ以上の客を店に入れないようにしましょう。どうでしょう、夕七つまでは店に十人以上入れないことにしては。そして外で待つ客については入る順番を明らかにするため、来た順に名を書いて貰いましょう」
「少し手間と人が必要に成りますが、仕方が在りませんな」
「朝飯を済ませたら此方に参り、門番をします」
「それは助かります」

 押上に戻った兵庫は新装なった道場での朝稽古に加わり、外から来た門弟を相手に汗を流していた。
その稽古の途中、駒形に戻るとする乙次郎と仙吉を見て、一旦稽古を止め二人を呼んだ。
「先生、御用は」
「駒形で客を捌くのに記帳台として使うので、茶店のターフルと椅子を一つずつ借り、運んで下さい」
「ターフル、あのオランダ机ですね」
「そうです。私は朝飯を食べたら行きます」

 朝飯を伝える板木が打たれ、剣士たちはそれぞれの朝飯が用意されている所へ散っていった。
その朝飯を子供たちや大工衆と食べ終わったところで、
「昨日、黒船が品川沖まで入り込んで来ました。それにより世情に不安が生じ、武家の戦支度が進められています。それが駒形の地天屋にも及び、これまで作って来た具足全てを今日中に売り切る見通しです。私はこれから駒形に出向き最後の具足を送り出して来ます。売り切れば一旦地天屋を閉めます。男の子には駒形に戻って貰いますので、今日は母上に甘えなさい」

 稽古着から羽織袴に着替え直した兵庫、朝五つ半前に駒形の地天屋に入った。
待つ客はおらず、客待ちの心次郎、帳場番の内藤、その後ろに奥村が用心棒として帳場に座って居た。
「内藤さん、状況は」
「今日の在庫は五十一組から始まり、これまでに四組売れ、いま二人が試着場に入って居ます」
「冷やかしが居なければあと四十五人ですね」
「そうなります」
そこに知り合いか二人が話しながら入って来た。
「いらっしゃいませ。一組三両二分二朱です。在庫が少なくなっており、今日中に売り切れてしまいます。売り切れ店仕舞いとなりますのでご承知おき下さい。宜しければご案内させますのでお上がり下さい」
二人の客が上がった。
「試着場は三部屋在りますが、二部屋が塞がって居ますので、直ぐに試着出来るのは御一人様です。ただ、選ぶことは出来ます。他の部屋も間もなく空きますがご一緒しますか、待ちますか」
「一緒でよい」
「それでは、どうぞ此方へ」
客の二人は心次郎に従い奥に消えていった。

 皆様の激励が明日への力に成って居ます。

Posted on 2015/11/14 Sat. 04:01 [edit]

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【鐘巻兵庫 第78話 多忙につき(その16)】 

 午後、養育所の庭には多くの者が集まって居た。
道場の日除け・葦簀(よしず)を乗せる大きな棚がほぼ出来上がったのだ。ただ釘一歩も使わずに、丸太と竹を荒縄で縛り作った立体構造だけに、棚が重みや振動でずり落ちる心配がある。
その心配を取り除くために棚を、道場の中に建てられた三本の心柱の天辺に取り付けられた八本の綱、計二十四本で吊り下げるのだ。
心柱の周りには外周の柱と隣の柱を合わせて八本の柱が建って居る。
その八本の柱に向かって八本の綱が伸び、棚を構成する青竹に取り付けられた綱と結ばれていった。
三本の心柱から放射状に伸びた綱が棚を吊るす光景は美しく、養育所の外からも見え、人目を引き付けた。
そして日除けと成る肝心の葦簀が乗せられ、風に煽(あお)られないように、下の青竹に棕櫚(しゅろ)縄で止められ、日が暮れる前には終わった。
 夕食が終り、子供たちとの決まりごとに成りつつあった散歩から戻って来ると、朝稽古に顔を見せなかった山中碁四郎がやって来ていた。
話があると外に誘い出されたが歩くことも無く碁四郎は茶店に入った。
「兵さん、黒船が午後、品川沖まで入ってきて、空玉を撃ち、脅して帰って行きました」
「幕府との話し合いが進まないのですかね」
「浦賀に行った者の話では、昨日九日にアメリカ国の者たちが小舟を仕立て大挙して久里浜から上陸したようですから、幕府と何らかの話し合いがなされたことは事実ですね」
「しかし、お気に召さなかった分けですね」
「そんなところでしょう。と云うことで、いま暫く見張りながら商売しますので・・・」
「御多忙中にも関わらずわざわざ吉報をお届け頂け有難う御座いました」
「吉報ですか?」
「はい、船が来てから駒形の商いが繁盛していたのですが、昨日、陰りが見えたのです。その陰りを吹き飛ばす気付け薬に成りそうなので」
「成りますよ。浦賀だと高を括って居たのが品川ですからね。稼いで下さい」

 碁四郎から聞いた話を妻の志津に話し、後を頼み兵庫は、吉報を持ち駒形の地天屋に向かった。
その地天屋に近づき隣の継志堂の前で歩みを止めた。
店から出て来る客と入る客がすれ違ったからだ。
“吉報は既に届いて居るようだな”と思い暫く様子を見ていたが、その後も客が入るのを確かめると、地天堂に入ることなく押上に戻って行った。

 具足を仕立てるために女たちが集まっている広間に兵庫は足を踏み入れた。
「薄暗い中、有難う御座います。いま駒形から戻りましたが繁盛している様子でした。恐らく今晩中か明日早くにも売り切ってしまうでしょう。押上に残るのは四十八組分ですが、今何組出来ているでしょうか」
「今葛籠に入って居るのは二十四組ですが、あと八組がもう直ぐ上がります」
「それでは、それを仕上げて今日はお仕舞にして下さい。残りの十六組は明日の夕七つまでにお願いします。客には事情を言い待って貰います」
「分かりました。明日の分の仕事が終わったらもう作らないのですか」
「はい、具足商いは養育所が出来る前に始めたのです。養育所には似合わない商いですから止め、新しい商いは子供たちと相談して決めたいと考えて居ます」
兵庫が部屋を出て行き女たちは仕事を再開した。

 皆様の激励が明日への力に成って居ます。

Posted on 2015/11/13 Fri. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

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