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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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【鐘巻兵庫 第96話 鬼の居ぬ間に(その8)】 

 土産の団子を持って碁四郎、矢五郎、心太の三人が駒形に着いたのは予定の七つ(午後4時)前だったが、被害を確かめに行った乙次郎も既に戻っていた。
留守番の内藤虎之助も加わり、話が始められようとした。
鐘巻さん、継志堂を加えませんか。
「東都組の者に顔を見られているので、用心のため使わないことにします」
「逆恨みの的になっては気の毒ですね」と同意した。
「それでは、碁四郎さん。了源寺の和尚との話を聞かせて下さい」
「結論から言いますと、押し込みの日は明日の夜半に成ります。寺の門が暮れ六つに閉まりますのでそれまでに入り庫裏に行って下さい。それから和尚からの情報ですが、半蔵の仲間以外で茶店に居る者は通いの年寄りだけだそうです。帰りに寄ってみましたが、婆様も一人だと云って居ました。他にもありますが、それは半蔵らを追い出した後のことなので、事が成就した後、庫裏に戻った時に話します。以上です」
「矢五郎殿、東都組の勢力は如何でしたか」
「十人は居るとの話でしたが、確かめられたのは七人までです。半蔵も姿を見せなかったのですが、婆さんの話ではいなせな良い男だそうです」
「時間はまだ在ります。明日は人を増やし調べましょう。乙次郎さん東都組の無法について話して下さい」
「東都組は案の定、駒形ばかりでなく北は三間町から南は諏訪町まで軒並み軒賃を取られていました。凡そ百軒は被害に在って居ます。軒賃は間口一間あたり一分前後ですから少なく見積もっても月、五十両は稼いでいるでしょう。先月から取られている所が多いので半蔵の金箱には百両は入ったはずです。幾ら残って居るかは明日のお楽しみです」
「お聞きのように、東都組をつぶす大義は在りますので、明日の夜、流れ星に押し入らせます。今、考えています流れ星の押し込み隊は打撃班が私、碁四郎さん、坂崎さん、根津さん、近藤さん、捕縛班が矢五郎殿、北村殿、常吉さん、乙次郎さん、鬼吉さん、見張り班が仁吉さん、心太さん、三五郎さん、万吉さん、団吉さんとしますが、明日、さらに追加するかも知れません。なお、班を分けましたが最初は打撃に加わるなど傍観しないように動いて下さい」
「兵さん、暗い中ですることで間違いも生じやすいから分けた三班から一人ずつ選び三人一組にしたらどうですか。例えば兵さんと鬼吉さんと三五郎さんですが」
「良さそうですね、それは全員が揃った時に決めましょう」
「先生、婆さんが通いだそうですから、帰る時どこから出てくるか確かめておいた方が・・」
「心太、お主素質が在るな。わしも行く、若い悪が暮れ六つで閉じこもる訳がない、酔って帰って来てどこから入るかも確かめておくことにしよう」と矢五郎も同意した。
「暮れ六つまでは未だ間が在ります。夕飯を食い、それと雨も降りそうですからその支度もしてから確かめに言って下さい。ほかに捕縄と灯りの用意を乙次郎さん頼みます。これで良ければ飯を食いに戻りましょう」

 駒形の帰路、小雨が降り始めた。それにも関わらず夕食後、了源寺門前町の茶店の最検分に矢五郎、心太以外に仁吉、三五郎、万吉、留吉が願い出たのだ。
新たな四人の参加により時間を置きながら一人ずつ茶店の客と成り東都組の人数が分かったのだ。
それはそろそろ暮れ六つの鐘が鳴るころ、茶店に入っていた留吉が店の奥からの声を聞いたのだ。
「駒形に行った伊佐次と忠治が戻って居ないが、またしくじったのだろう。行くところはねぇ。そこいらの軒下で雨宿りでもしているのだろう。許してやると云い、皆で探し連れてこい」と恐らく親分・半蔵の指図だった。
そして、出て来たのが八人だったのだ。
これで、東都組が半蔵を含めて十一人だということになったのだ。

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Posted on 2017/03/27 Mon. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学