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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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【鐘巻兵庫 第111話 落し所(その2)】 

 兵庫が腰を上げようとしたが話は続けられた。
「四郎兵衛さんを呼ぶのは良いとして、どこまで正直に話すつもりですか」と内藤が確かめれば
「出来るだけ正直に話した方が理解は得やすいが、与兵衛の死については話さず行方不明とした方が・・・」と碁四郎が慎重な意見を出した。
「ここに残って居た金は十両程度と少なく、与兵衛が持って逃げたか隠したことに・・」内藤が云い、同意を求めた。
「与兵衛に似ていると云う事で、勘三郎を与兵衛の甥として留守番役に仕立て上げましたがどうしますか」と兵庫が判断を求めた。
「ただ留守番で良いのでありませんか。四郎兵衛さんには留守番役に選んだ経緯を教えるのも面白いかもしれませんね」と碁四郎がおどけた。

「話をもう少し戻し、そもそも成田屋にたどり着くまでの流れを確かめ、我ら三人だけでも話に齟齬の無いようにしておきましょう」と内藤がこれまでの事実の復習を提案した、
「それは困って居る子供たちを探し、助けた上で額賀殿の墓参に連れて行ことしたことに始まります。人探しの途中、聖天町で勘八が浮浪時代に姉と慕った乙女に会ったことに始まります。乙女が申すには浮浪の女の子の間には、十四歳になると仲間を抜け出し成田屋与兵衛を尋ねることで嫁に行く夢が叶うという話が伝わっていた。ただ、与兵衛は集まった娘を選別し、眼鏡に適わなかった娘たちは吉原等に売られているらしい話が乙女からあった。そこで南町定廻りの久坂さんに矢五郎さんが御用改めをお願いした。ここまでは事実ですがこの先をどうしましょうか」
「真実は御用改めに入った久坂殿の前に娘。珊瑚が姿を見せ、売られた恨みから与兵衛を刺殺したこと。押し込められていた娘が二人居たことで久坂は珊瑚をかばい、殺人事件を無かった事にし、隠密裏に与兵衛を江戸湾に葬った」と内藤が隠すべき真実を語った。
「与兵衛は久坂殿が御用改めに訪れた時、裏で珊瑚ともめていた。そこに久坂殿の御用改めの声を聞き逃げたと云うのが、あり触れていますがいかがですか」と兵庫が言うと
「その時帳場に残されたのが十両ほどと云うことに成りますね」と碁四郎が先ほど出た金額と合わせて言った。
「逃げた訳は娘二人・アマモとアラメを拉致し閉じ込めていたことが露見することを恐れたからということにしましょう」ということで如何でしょうかと兵庫が締めくくった。
「これで四郎兵衛さんとの問答は鐘巻さんに任せるとして、山中さんは久坂さへこちらの段取りをお願いします。私は、彦次郎さんにこの店から成田屋の面影を出来るだけ消すように先ずは表の造作を変えて貰います」
 兵庫は一旦押上に戻り、碁四郎は久坂が立ち寄りそうな駒形の自身番へ寄りながら船宿に戻る道を戻って行った。
内藤は吉原に売られた二十五人の売られた日、名前、売り先、金額を与兵衛の残した帳簿から書き移し、台所で勘三郎と待った。
暫くして矢五郎が勘三郎の昼飯を持ってやって来た。
内藤は昼前の打ち合わせた内容を言い、二十五人の記録を書き移した物を見せ、
「これは四郎兵衛さんに渡す物です」と云い渡し、成田屋を出て行った。

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Posted on 2018/07/22 Sun. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

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