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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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【鐘巻兵庫 第112話 一抜けた(その20)】 

 深川・永代寺門前町の涛屋に既に集まって居た。
浅草側と草加宿、越谷宿からは、山中碁四郎を加え、総勢三十人。
向島からは保安方の平田実深と共に、棒手振り仲間の大二郎、小助、伊佐次、忠治、久八、鎌之助等六人、それと十軒店の雑貨屋を任されている空太と金吉の二人、総勢九人。
押上からは根津甚八郎、山口藤十郎、近藤小六、常吉の総勢四人。
そして中之郷元町からは中川彦四郎一人だった。

「彦四郎さん、こちらには四十人以上が集まりましたが、川向こうの西詰には何人ですか」
「親父の他に、天道さん、弥一、仁吉、心太、三五郎、万吉、弥三郎そして勝太の総勢九人ですが私も行きますので十人に成ります」
「分かりました。人数を増やします。ところで碁四郎さん、何処かの道楽息子に化けて居ると思って構いませんか」
「はい、坂牧さんの入れ知恵です」
「それでは、昇龍院の二人と聖天町の七人は碁四郎さんと橋の西詰に移動して矢五郎さんと相談して動いて下さい。私は草加と越谷の皆さんと橋の中ほどに陣取ります。残りは甚八郎の指揮かで東詰め辺りに陣取って下さい。守備範囲の連絡を取るために数人の移動はむしろ積極的に頼みます。それでは、各自捕縄を受け取り行きましょう」

 東詰めに見慣れた顔に気が付いたのか涛屋の保安方として働いて居る網吉が寄って来た。
「網吉さん、ご苦労様です。二十人ほど居ると聞いて居ますが、その顔触れは変わりませんか」
「変わりません。客にも覚えられていて、それを見た客は引き返しています。もっとも客の中には永代が駄目なら一つ川上の新大橋を渡って深川に入る好き者も居るそうです」
「西詰で矢五郎さん等が見張って居るのは知って居ますか」
「はい、浜町辺りの岡っ引きの百吉さんが来たら私は西に移り、脅しをする奴らの顔を知らせることに成って居ます」
「なるほど、分かりやすい段取りが出来ていますね」

 暫くして矢五郎からの使いが網吉のところに来て、網吉は東詰めを離れ西詰へと移っていった。その姿は永代橋の西と東の間を往復している兵庫等の目にも留まった。
永代橋の通行がいつもと変わらないのか兵庫には分からないが、賑やかとは言えない。
それは暮れ六つを少し過ぎており御定めでは灯りを持たねばならない時刻で女・子供が歩く時刻は過ぎていたからかもしれない。
無灯火の兵庫が西詰近くまで行くと、彦四郎が灯りを下げてやって来て、兵庫に提灯を渡した。
「いつもと違うようです」と彦四郎が伝えた。
「何がですか」
彦四郎は東詰めを指さし歩き始めた。
「いつもならもう奴らは顔を出している時刻だそうですが、今日は一人も居ないそうです。その代わり、見慣れないごろつきが出始めている。そこで山中殿が囮に成ってごろつきどもが仲間か否かを確かめ、仲間なら叩きのめし新参の入る余地のないことを教えやって来た訳を聞き出し、処分を決めることにしました」
「分かった。罠に掛かったら、碁四郎さんに助けを呼ぶように言って下さい。弱そうなのを碁四郎さんの助っ人に出し、ごろつきが集まるかを確かめ、捕らえることにします。この段取りを甚八郎に伝えて来ますので、少し待って、芝居を始めて下さい」
「分かりました」

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Posted on 2018/09/10 Mon. 03:58 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

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09/10 11:08 | edit

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