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洗心湯屋

日本一長い、時代小説を目指しています。

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【鐘巻兵庫 第112話 一抜けた(その27)】 

 朝食の場には入谷からやって来た十六人と文吉、観太、大助、佐助、梅次郎の五人それと千夏、小夜さらに保安方の勘三郎と鐘巻家の年寄り・佐吉が集まっていた。
草加宿と越谷宿から来た坂崎以下十二人は別室での食事となった。
 入谷から来た子供たちは、兵庫が外出していたため、一緒に食事をするのはこの朝飯が最初となり、少々緊張していた。
「すでに母から聞いて居ると思いますが、朝食後ここに居る多くの者たちはここを離れ新しい修行の場に向かうことに成ります。入谷から来た子供たちは、兎に角一年間は頑張りなさい。そうすれば同じ年頃の町の子と比べ読み書き算盤で劣ることは無くなります。その証が、一年近く修行をして来た同席して居る者たちです。わかりましたね」
「はい」
「入谷から来た者以外の子たちについては食後お願いすることを言います。それでは頂きます」
「頂きます」
 こうして、ほぼ無言のうちに食事は食べ終わり箸が置かれた。
「それでは、これまで神田庵のために働いてくれた子供たちに、新しい手助けを頼みます。小夜は小さいのにこれまでよく頑張ってくれました。これからは押上に戻ってください。押上では一番年上に成るのですから、年少の娘たちの模範となって下さい」
「はい、有り難うございます」
「千夏はここに残り、押上から来る年長の者たちと力を合わせ母上を助けながら手本を示して下さい」
「はい、有り難うございます」
「大助は一番幼いのによく頑張りました。同じ年の子が入って来ましたのでこれからは中之郷元町で、これまでに覚えたことを教えてあげなさい。今、駒形に居る虎次郎、熊五郎も年少組の頭として中之郷に戻しますので、助け合いなさい」
「はい、有り難うございます」
「文吉、観太、佐助、梅次郎については今日の予定を変えます。観太は駒形へ行く者に同行して、指導的立場を担って下さい。文吉は昇龍院の組長になって貰います。そこには佐助と梅次郎の他にいま、駒形に居る者から四人を選びここに送りますので待って居て下さい。なお別件ですが佐助と梅次郎はこれから涛屋に行き、音吉と子供たちの世話をしながら、涛屋の様子を見に来る大人が居るか居ないかだけを確かめて下さい。決して後をつけてはいけません」
子供たちは自分や仲間のこれからのことを聞き、頷いていた。
「勘三郎さん、私はこれから客人に挨拶し、外出しますので、留守中のことをお願いします」
「はい、分かりました」
「ご馳走様でした」が唱和され食事が終わった。

 部屋から人が消えると兵庫は稽古着を脱ぎ、武家姿になり、志津に髪を直して貰い部屋を出た。
坂崎らが泊った部屋の障子は開け放たれていて十二人が思い思いに集まり話をしていた。
「待たせてすみませんでした。忘れてはいけませんので、昨日と今日の日当をお支払いします。特に怪我をされた方も居られないようですので、決まりの二日分で二朱を受け取って下さい」と用意した金を手渡して回った。
「昨夕は、皆様方のお力で、無事、追剝を追い払うことが出来ました。暫くは出無くなり深川の店の主も喜ぶことと思います。私は、用が有りこれで失礼いたしますが、皆様方はゆっくりなさって結構です。用が有りましたら手を叩きください。誰かが参りますので」
「その用だが、二人ほどこちらに引き取っては貰えませんか」
「ここではなく、養育所でしたら構いませんが・・・」
「それで構わぬ」
「何方ですか」
「金子鉄太郎さんと反町半四郎さんだ」
「不足して居るのは学門方に成りますが宜しいですか」
「相手が子供なら何とかなるだろう」と金子が反町を促し、頷き話はまとまった。
「一旦道場に戻り、出来れば稽古道具も持って駒形の内藤さんを尋ねて下さい。話をしておきます」

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Posted on 2018/09/17 Mon. 04:01 [edit]

thread: 花の御江戸のこぼれ話

janre 小説・文学

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